平成20年 第2回定例会(6月) 平成20年第2回定例会 墨田区
議会会議録1 期日 平成20年6月13日2 場所 墨田区
議会議事堂3
出席議員(32人) 1番
福田はるみ君 17番 大越勝広君 2番 あそうあきこ君 18番 加納 進君 3番 山本 亨君 19番
千野美智子君 4番
樋口敏郎君 20番 田中 哲君 5番 桜井浩之君 21番
江木義昭君 6番 とも宣子君 22番
高柳東彦君 7番 高橋正利君 23番 木内 清君 8番 甚野博義君 24番 坂下 修君 9番
青木いさむ君 25番 中沢 進君 10番 木村たけつか君 26番 中村光雄君 11番 あべきみこ君 27番
西原文隆君 12番 はらつとむ君 28番 瀧澤良仁君 13番 林 恒雄君 29番 広田充男君 14番 沖山 仁君 30番 片倉 洋君 15番
田中邦友君 31番 鈴木順子君 16番 出羽邦夫君 32番 西 恭三郎君4 欠席議員 なし5
出席理事者 区長 山崎 昇君
都市計画部長 渡会順久君 副区長 田中 進君
都市整備部長 渡邊正雄君 教育長 久保孝之君
総務部参事 鶴間純治君
企画経営室長 織田雄二郎君
危機管理担当部長 森 隆夫君
総務部長 岡田 貢君
環境担当部長 今牧 茂君
区民部長 中武繁明君 新
タワー調整担当部長 河上俊郎君
区民活動推進部長 小川幸男君
子育て支援担当部長 細川保夫君
産業観光部長 藤田 彰君
保健衛生担当部長 西田みちよ君
福祉保健部長 横山信雄君
都市整備部参事 小山季廣君
会計管理者 林 恵子君
選挙管理委員会事務局長 岸本佳巳君
教育委員会事務局次長 坂本康治君
監査委員事務局長 永廣 修君6
出席事務局職員 事務局長 深野紀幸君
議事調査主査 東條 清君
事務局次長 有田武雄君
議事調査主査 柳田敏也君
議事調査主査 渡邊久尚君 平成20年第2回墨田区
議会定例会議事日程 第2号 平成20年6月13日午後1時 開議第1 議案第40号 墨田区の債権の管理に関する条例の一部を改正する条例第2 議案第41号 墨田区
手数料条例の一部を改正する条例第3 議案第42号 災害に際し応急措置の業務に従事した者等に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例第4 議案第43号 墨田区特別区税条例の一部を改正する条例第5 議案第44号 墨田区
木造住宅耐震改修促進助成条例の一部を改正する条例第6 議案第45号
墨田区営住宅条例の一部を改正する条例第7 議案第46号 墨田区
地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例第8 議案第47号 墨田区
ひとり親家庭等の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例第9 議案第48号 墨田区保育の実施及び費用徴収に関する条例の一部を改正する条例第10 議案第39号 平成20年度墨田区
一般会計補正予算第11 議案第49号 立花吾嬬の
森小学校改修工事請負契約第12 議案第50号 物品の買入れについて第13 議案第51号 特別区道路線の認定について 午後1時2分開議
○議長(
西原文隆君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(
西原文隆君) まず、
会議録署名員を定めます。 本件は、例によって、議長からご指名申し上げます。 4番
樋口敏郎君 21番
江木義昭君のご両君にお願いいたします。
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○議長(
西原文隆君) 昨日に引き続き、
一般質問を行います。 順次発言を許します。 20番・田中哲君 〔20番 田中哲君登壇〕
◆20番(田中哲君) 墨田
区議会民主党の田中哲であります。私は、
区議会民主党を代表し、
山崎区長、
久保教育長に対し、通告しております大綱4点につきまして質問をいたします。どうか明確なるご答弁を賜りたくお願いを申し上げます。 さて、私は、先の第1回
定例会質問におきまして、
山崎区長に、協治(
ガバナンス)の根幹であります地域の課題を見つける「知る力」、仲間を集める「つながる力」、できることから始める「行動する力」を担保する
協治推進のための条例についてお尋ねをいたしました。この質問に対し
山崎区長は「従前の住民投票を中核とした
自治基本条例とは一線を画した
ガバナンスの担い手の役割や
区民参画、協働のルールなどを制度的に保障する仕組みを制定する
基本条例を検討している」とご答弁をされております。その条例では、だれもが協治の担い手として
まちづくりにかかわることを保障し、協治(
ガバナンス)の実践と向上を目指した
基本条例にするとのご見解をいただいております。 しかしながら、一番重要な協治(
ガバナンス)の担い手が、最近、特に不足しているように思えてならないのであります。例えば地域の身近な福祉の担い手であります民生・
児童委員は、定数202名でありますが、現在、登録、地域で活躍されている実際の方々は188名しかおりません。さらに、
地域防災の担い手であります消防団員も、本所管内では定員300名に対し276名、向島管内では350名の定員に対して267名であります。このことは、同じように保護司や
PTA役員、
青少年委員、さらには町会の新しい役員などの引受け手も地域では大変な思いで探されているのが現状なのであります。
山崎区長が、幾ら声高に協治(
ガバナンス)を訴えても、肝心要の担い手が不十分では、真の意味の協治(
ガバナンス)が担保されるとは到底考えられません。 アメリカ合衆国第35代大統領のジョン・F・ケネディは、その就任演説の中で「Ask not
what your country can do for you ask
what you can do for
your country」「国があなたに何をしてくれるかを問うてはなりません。あなたが国のために何をできるかを考えてほしい」と国民に問い掛けをいたしました。私は、この言葉こそが協治(
ガバナンス)の神髄ではないかと考えています。
ガバナンス(協治)とは、区民や地域、企業などに協力・協働という責任を押しつける必要が出てくるのです。また、そうならなければ本来の自治は完成されないと思うのです。 今年、私の愚息が成人を迎えました。
親子ともども成人式に参加をさせていただきましたが、大変すばらしい式典だと息子も喜んでおりました。これは成人を迎える新成人の彼ら自身が、自ら計画を立て、彼ら自身が行う式典であるからだと考えます。ほかの行政団体では、余りに荒れる成人式のため、式典自体を廃止するところもあると聞いておりますが、すみだには、協治(
ガバナンス)にふさわしい式典のあり方だと考えています。 同じことが墨老連主催の地域の演芸大会にも見られます。地域のご高齢者が工夫を凝らした歌や踊りなど、自らの企画で自らが楽しんでいる姿に、協治(
ガバナンス)の原点があるように思えるのです。 かつて、私たちのまち・すみだは、
自分たちでまちを治める自治意識の大変強い地域でありました。なぜなら、多くの区民の皆さんが地域で働き、地域で生活できる、いわば職住一体の
生活様式でありました。しかし、時代の変遷と
生活様式の変化によって、勤めに出る家庭が多くなり、我がまちという意識が徐々に薄れつつあります。こういう時代に
山崎区長はどうやって区政の担い手を確保し、協治(
ガバナンス)を実現されるお考えなのか、ご所見をお伺いしたく思います。 来年度には「すみだ やさしい
まち宣言」が10周年を迎えます。この宣言の中で、毎月25日を家庭の日にするなど、やさしさや
思いやりの心を大切にして、人と地球と環境に対してやさしいまちをつくり、未来の世代に引き継いでいくという宣言に、私たち
区議会民主党も支持・賛同したいと考えていますが、来年10周年を迎えるに当たり、
山崎区長に、この間の総括と感想をお聞かせいただきたいと考えています。 さらに、協治(
ガバナンス)により目指す究極の社会は、やさしいまちだと私は考えますが、今回の
条例制定に当たっては、やさしいまちの宣言を条例の前文に織り込むことも考慮してよいのではないかと考えますが、いかがでありましょうか。 2点目の質問に先立ち、去る5月12日に発生いたしました四川大地震、さらにミャンマーのサイクロンにより被災された方々に、会派を代表して心からのお見舞いを申し上げます。四川大地震から1カ月余り、死者・
行方不明者が8万6,000人を超える災害を目の当たりにして、私たちは、もう一度災害について考えなければならないと思います。 「天災は忘れたころにやってくる」という格言がありますが、今回の災害による報道を見ていますと、災害に対する備えだけは決して忘れてはならないのだと痛感をしております。特に今回の四川大地震では、学校の倒壊がクローズアップされ、多くの
子どもたちが犠牲になっています。本年3月の
予算特別委員会で行政は、学校などの
耐震強度Is値を公開し、早急な対策を講ずるとしておりますが、補強対策だけではなく、この際、すべての公共施設の改修・
改築計画を順番をつけた上で、きちんと地域に開示するべきと考えますが、いかがでありましょうか。災害に対する訓練や備えこそが最大の
防災対策と考えています。 また、本年度予算では、初めて墨田区でも
図上訓練が実施されることになっておりますが、どういった構想のもとで、どういった実施をするのか、その構想をお聞かせいただきたく思います。 最近では、市民参加型のDIG(ディグ)と呼ばれる
図上訓練により、災害を知り、まちを知るシミュレーションができるそうでありますが、こうした新しい手法を導入し、再度区民の皆さんと災害について考えてみるべきと思いますが、いかがでありましょうか。情報を開示し、明らかにしなければ、地域の課題を見つける「知る力」を醸成することはできません。 さて、第3の質問は、
観光施策についてであります。 「
ビジット・ジャパン・キャンペーン」では「2010年までに
訪日外国人旅行者を1,000万人にする」との目標のもと、国内外でさまざまな
誘致活動が繰り広げられています。
観光立国推進基本法が平成18年12月に制定をされ、
観光立国推進基本計画の閣議決定も昨年6月になされており、今年10月には観光庁の新設が
国土交通省から発表されております。株式の格言では「国策は買い」という言葉があります。今、まさに「
ビジット・ジャパン・キャンペーン」という国策の中で、すみだは大きな変革のチャンスを迎えていると考えています。 事実、先日、ある会合で両国のホテルを利用いたしましたが、以前よりホテルを出入りする外国人の余りの多さに驚きました。さらに「夢の下町」行きと称する
観光路線バスが、東京駅から秋葉原を経由して上野、浅草を抜けて両国まで運行され始めています。江東区では、門前仲町のお不動さんや亀戸天神などの名所・旧跡などを都バスに描き、
水彩都市のスローガンを掲げたラッピングバスが走っています。 東京で行ってみたいまちの順番は、浅草、秋葉原、両国の順だとも聞いておりますが、しかし、すみだでは具体的な観光による
まちづくりが見えてきません。もちろん、
観光振興プランや
文化観光協会の法人化などの計画は始まりつつあるものの、ビジュアルに訴える、つまり、目に見える変化がありません。目に入らなければ、区民の皆さんの
盛り上がりも出てこないのではないかと考えています。 去る5月31日付の読売新聞の「都鳥」という記事にもこんな文章が掲載されておりました。一部抜粋ですが、ご紹介をさせていただきたいと思います。「実は、新タワーの取材をしていて気になったのが、行政や事業者の意気込みに比べ、住民の関心が今ひとつ盛り上がっていないように見える点だ。昨年、住民有志がタワーの高さを光で表現するイベントを企画した以外、住民主導の取組みも目立たない。
タワー建設を機に、墨田区ばかりではなく、下町一帯が大きく変わろうとしている。だが、よくなるも悪くなるも、住民が
自分たちのまちへの愛着と、自らのまちを作り続けるという意識を持てるかどうかだと思うのだが」と結んでおります。
観光振興プランにおいても担い手の問題を課題ととらえていますが、
山崎区長はいかがお考えなのでありましょうか。できることから始める、行動する力がなければ、協治(
ガバナンス)は実現できないのではないでしょうか。 先日、枕橋のたもとを通りかかりますと、しゃれた感じの江戸風の茶店が建設されているのが目に止まりました。これは、新
タワー建設に伴う若い世代による民間の案内所であり、ここでさまざまな情報発信を企画していると聞いておりますが、行政として、こういった新しい試みをどうとらえているのでしょうか。
観光振興の
基本理念の最初に掲げられておりますのが、ビジターズ・インダストリーの創出であります。今までの
ものづくりの伝統を残しながら、観光の視点を生かした幅広い産業が立ち上がらなければ、
タワー誘致の所期の目的は達せられません。いよいよ新タワーの名称が「
東京スカイツリー」に決まりましたが、
タワー本体の建築が目に見えてくると、まちの
盛り上がりも本格化するとは思いますが、是非この機会をとらえて行政が、区民の皆さんを巻き込んだ何らかのアクションを起こすべきと考えていますが、
山崎区長のご所見を賜りたく思います。 さて、
東京スカイツリーに対して、北斎館がすみだの観光のもう一つの目玉になることでありましょう。北斎館の
基本設計はこれからになりますが、計画に際しては、一つ提案がございます。是非外観や内装に関しては、日本の伝統が感じられるような作りにしていただきたいと思います。区庁舎の横に
フランス人のフィリップ・スパルクが作ったフラムドールというモニュメントがあります。当初、隅田川の景観には合わないという大きな批判があったようですが、今や吾妻橋の赤い欄干と黄色い炎が溶け合って、大変よく調和をしています。
東京スカイツリーが立ち上がりますと、浅草側からの最高のタワービュー・ポイントになることでありましょう。同じように、
北斎館建設に当たっては、ただの四角い建物を作るのではなく、歴史が感じられるような、わくわくする外観にしていただきたいと思うのです。さらに、拝観に際しては、思い切って畳敷きにするなど、我が国の文化を感じるような施設にしていただきたいと思うのです。
山崎区長のご所見を求めたいと思います。
観光施策に関する最後の質問は、錦糸町の南口の治安問題であります。 以前から、日が沈むと錦糸町南口、特にJRAの近辺は怖くて歩けないという女性の方の声をよく聞いております。
観光振興プランでは、世界から愛されるすみだを築くために「新タワーを活かし、住んでよく、訪れてよい
国際観光都市すみだ」を作るという目標が掲げられています。地域の人が安心して歩けないまちを、観光客が安心して訪れるでありましょうか。区長は「観光してよいまちとは、そこに暮らす人にとってもよいまちでなければならない」と語っておられます。日本有数の歓楽街であります新宿の歌舞伎町でも、
歌舞伎町ルネッサンス推進協議会を立ち上げ、安心・安全や環境美化だけではなく、新たな文化の創造や発信、さらに、健全で魅力あふれる
まちづくりを目指しています。我がまちすみだでも、早急に何らかの対応策を講じるべきと考えますが、
山崎区長のご所見を賜りたく思います。 最後の4点目は、
学校支援地域本部についてであります。 私は、やはり前回の定例会におきまして
久保教育長に、
学校支援地域本部と
育成委員会の整合性について質問をさせていただきました。教育長は「既に地域の住民の方々のお力によりまして、各学校で
子ども安全ボランティア、
学校図書館支援ボランティア、
学習ボランティアあるいは土曜補習教室における
アシスタントティーチャー登録制度、さらには
育成委員会が取り組む事業や
PTA活動の一部においても、多様な形態での
学校教育支援の取組みが進んできております。しかしながら、各々の
支援活動が課題別、個別的な対応となっておりまして、学校の
教育活動充実のための総合的な要望を必ずしも効率的に受け止められていない事実もあるということでございます。今回、国で提唱しております
学校支援地域本部の役割は、それらの活動をうまく学校の要望と統一的に結びつけていく機能を整備していくものと受け止めておりますので、まずは学校の
支援活動の状況を調査し、横の連携のための人材の確保や配置のあり方等につきまして、分析、整理してまいりたいというふうに考えております」と答弁をされておりますが、縦の社会で横の
つながりがないのは、行政や学校側の問題ではないでしょうか。 つい先日、秋葉原で大変悲惨な
通り魔事件がありましたが、同じような事件が墨田区でも起こっていることを教育長も把握されていることと思います。去る5月4日に太平一丁目で
女子中学生への傷害事件が起きております。この事件後、地域の
育成委員長の声かけで、
近隣地域の4地区の
緊急協議会が開かれております。
育成委員会の
協議会会長も参加され、事件の経過説明から始まり、緊急時の対応や情報交換、それぞれの地域独自のアイデアなどが話し合われ、非常に有意義な協議であったと聞いております。また、ある
育成委員からは、
育成委員会と町会が協力できれば、学校ともよい連携がとれそうだというお話をしておられます。行政は、例えば学校・幼稚園は
教育委員会、保育園・児童館は
福祉保健部子育て支援担当と分かれておりますが、地域は「子ども」というくくりで一つなのであります。行政側が、縦の関係から脱却して、もっと横断的な所管にとらわれない関係を自ら構築すべきです。その上で、むしろ子育ては地域の特性を生かして地域に任せるべきと考えますが、
コミュニティスクールにしろ、今回の
学校支援地域本部にしろ、今までの教育長の考え方は消極的で、地域を信用していないのではないかとさえ思えるのは私だけでありましょうか。
教育再生会議では、
社会総掛かりで子ども、若者、家庭の支援を行うとされています。
住宅事情や
生活様式の変化で核家族化が進展していますが、地域では、高齢者がいて、壮年層がおり、若者がいて、子どもがいる。いわゆる大きな家族であり、一つの家を作っているのであります。 また、地域全体で子どもを育てていくということに関して、教育長は、これからの本区の教育において「幼稚園、保育園、小学校、中学校の連続性を意識した教育と、それを支える学校と
地域づくり」が極めて大きな課題であると答弁されており、その際、幼稚園、保育園あるいは小学校は、地域の力を自らの
教育活動に取り入れていくのみならず、積極的に地域に働きかけ、地域の教育力を引き出し、高めていく機能を果たすことを目指すべきであると語っておられます。この地域の教育力を積極的に引き出すためには、最も大切なことは「任せる」ということではないでしょうか。
子ども110番事業も、当初は
本所PTA連合会の発案でありました。土曜日対策の
地域体験活動も、各
育成委員会によって、地域の実情に合ったさまざまな企画が行われています。この際、
育成委員会をベースに、思い切って
学校支援地域本部を立ち上げ、地域の教育力に頼るべきです。本当に必要なのは、こうした地域と行政とのパイプとなり、両者をコーディネートする調整力なのではないでしょうか。子どもは見ています。大人が協治(
ガバナンス)を実践することにより、次の世代に協治(
ガバナンス)が受け継がれるはずだと私は考えていますが、教育長のご所見を賜りたいと思います。 以上で私の代表質問を終了いたします。ご清聴に心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君) ただいまの墨田
区議会民主党・
田中哲議員さんの私に対するご質問に順次お答えをいたします。 まず、協治(
ガバナンス)による
地域社会を目指すため、その担い手の育成についてお尋ねがございました。 ご指摘のように、民生・
児童委員をはじめとするさまざまな地域と行政を結ぶ方々の担い手が確保できていない現状がございます。これは、本区が
中小零細企業のまちということから、男女を問わず、日頃、仕事に追われて、なかなか
ボランティア活動に参加しにくい環境にあることや、地域とのコミュニケーションを好まない新住民の方々が増えていることなどが主な要因かと思われます。しかし、
区制施行60周年事業として作成したビデオでもご紹介しましたように、
ひとり暮らしのお年寄りや障害のある方を訪問する「声かけ・個別訪問」や、ご自分の敷地を開放しての「ふれあいサロン」を自主的に実行されている区民の方もいらっしゃることから、自らが主体となって地域の課題解決にかかわろうとする区民の方々は、潜在的には増えているものと考えております。 協治(
ガバナンス)による
まちづくりにおいて最も重要なのは
担い手づくり、いわゆる
人材育成でございまして、時間はかかるかもしれませんが、地道に進めていくことが必要でございます。そこで、さまざまな
地域活動の担い手として協治(
ガバナンス)の三つの力を発揮してくださっている方々を講師として、地域の
コミュニティ活動の後継者を育成し、
区民同士の
つながりの輪を広げていくことを目的とした「わが
まちコーディネーター創出支援」制度を立ち上げ、区民の皆様とともに人材の創出に努め、協治(
ガバナンス)の実現に向けた取組みを積み重ねていきたいと考えております。 次に、条例の前文に「やさしいまちの宣言」を織り込むことも考慮してはとのご提案をいただきました。 「すみだ やさしい
まち宣言」が来年度で10周年を迎えます。このやさしい
まち宣言では、「人と地域と環境にやさしい」をテーマにさまざまな運動を繰り広げるとともに、平成16年度より「すみだ家庭の日」を制定し、やさしさや
思いやりを育む運動を展開してまいりました。その中で、区民の皆さん一人一人が、互いに支え合い、具体的な行動を起こしていただくことに力点を置いて実施をしてまいりましたが、この間、着実に区民の皆さんに浸透し、さまざまな
区民活動が行われてきているものと評価をしているところでございます。 私は、条例の
基本的考え方として、協治の考え方による
区政運営の仕組みを構築するとともに、是非、すみだらしい協治による
地域社会の実現を目指すものにしたいと考えております。当然、すみだらしい協治とは、下町人情とも言われる共助の意識が息づく
コミュニティを再生する趣旨であり、「すみだ やさしい
まち宣言」の取組みと軌を一にするものと考えます。条例の前文を書き込むとすれば、この条例が目指している理念や協治による
まちづくりの方向性を分かりやすく表現できるものがふさわしいと考えております。 いずれにいたしましても、
区民検討委員会を設置するなど、広範な区民の皆さんのご意見とともに、区議会の皆様のご意見をいただき、当条例を制定してまいりたいと考えておりますので、ご理解のほどお願いをいたします。 次に、四川大地震を教訓に大災害に学ぶといった視点からのご質問が何点かございました。 まず、補強対策だけではなく、すべての公共施設の改築・改修計画を、順番をつけて地域に開示すべきではないかとのご意見でございます。公共施設の耐震化につきましては、本年3月に「墨田区耐震改修促進計画」を策定したところであり、現在は関係各課による庁内検討において、耐震改修整備プログラム」の策定に向け、鋭意取り組んでいるところでございます。また、公共施設の改築につきましては、墨田区基本計画にある「公共施設整備の考え方」に基づきまして、施設の老朽度や施設の再編・統合などを総合的に勘案し、順次進めてまいりたいと考えております。その際、具体的な改修の順番をつけるということではなく、改修計画期間の前期、後期といったスパンで公表をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。 次に、災害に関する
図上訓練の構想についてでございます。 田中議員さんご指摘のとおり、まさしく災害に対する訓練や備えこそが最大の
防災対策であると私も認識しており、総合防災訓練をはじめ、区民の皆様にご参加をいただいて、さまざまな訓練を実施しているところでございます。 本年度予算に計上しました
図上訓練経費は、国民保護を含む危機管理対応訓練に関するものでございまして、万が一、大規模事故やテロなどの危機事象が発生した場合、区民の生命・身体・財産に対する被害を最小にするため、区として的確な初動体制を構築すべく、職員を中心とした危機管理対策本部の運営などに関する
図上訓練の実施を検討しているところでございます。 また、区民参加型の
図上訓練についてのご指摘がございましたが、今年度実施いたします
図上訓練の結果などについて検証させていただきまして、その上での今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。 次に、
観光施策に関するご質問に順次お答えをいたします。 最初に、新タワー(
東京スカイツリー)を契機に下町一帯が大きく変わる中で、観光
まちづくりの担い手をどのように育成していくかについてでございます。 まず、国の施策の「
ビジット・ジャパン・キャンペーン」が展開されておりますが、その成果もあってか、ここのところ、区内への外国人観光客の増加が目立ってきております。こうした中でも、当区の観光面での振興を図るためには、言うまでもなく新タワーの開業が絶好の機会となります。そのために、本年の1月と2月に、それぞれ「
観光振興プラン」と「
文化観光協会法人化調査検討報告書」を取りまとめ、実現に向けた取組みを進めているところでございます。 この大きなチャンスを生かして確実な成果を生むためには、ご指摘にもありましたように、それぞれの地域に
観光振興を担う主体が生まれ、それぞれが連携を深めながら、その役割を適切に果たせるような環境を整える必要があります。 こうした担い手による観光
まちづくりの動きについては、現在では、まだこれからという状況にありますが、幾つかの目に見える変化も出てきております。例えば、先ほどご紹介がありましたが、この6月に枕橋際におきまして、地域イベント情報の発信やすみだのビュースポット開発など、観光サービスの企画・開発・提供を行う拠点が区内の企業によって設置されると聞いております。また、北斎通りを中心とした
まちづくりの会に加え、向島見番通り周辺の町会でも、若手有志の方々が中心となったまちおこしの会が発足し、区の
まちづくり団体として認定され、新タワーを生かした観光の受け皿づくりを目指した活動が始まっております。こうした活動の芽が、今後は区内に大きく展開していくよう期待をいたしております。 また、区内の観光拠点であります両国地区につきましても、新タワー開業に向けて一層の観光PRを行うため、地元の町会、商店街等と協力して、秋に街歩きイベントを開催する運びとなっております。 いずれにいたしましても、観光を核とした
まちづくりは、観光事業の担い手が育つことが最重要課題であり、区民一人一人が、わがまちすみだへの愛着と誇りを持ち、地域の歴史や文化への理解と、おもてなしの心の醸成が不可欠でございます。新タワーの開業時までには、
観光振興プランなどの計画に沿って所期の体制を整えなければなりません。開業までの期間は約3年余となりましたので、焦りは禁物でございますが、これからはスピード感を持って、区民の皆さんも巻き込んださまざまな
観光施策を着実に推進していきたいと考えております。 次に、北斎館の外観等に対するご提案がございました。 北斎館に関しましては、今年度は
基本設計に入る予定でおり、現在、設計業者の選定準備を進めているところでございまして、具体的なお話ができる状況には至っておりません。ご承知のとおり、北斎館は、
東京スカイツリーに対する区内のもう一つの観光の目玉となる施設であり、地域
まちづくりの拠点ともなる施設であると考えています。 したがいまして、私も、北斎館を単なる四角い建物ではなく、外観、内装ともに斬新なイメージの中にも下町の歴史や伝統、文化が感じられ、何よりも北斎自身を身近に感じることができる趣のある建物にしたいと考えておりますので、ご理解をお願いいたします。 最後に、
観光施策に関連して、錦糸町南口の治安についてのお尋ねがございました。 ご指摘のとおり、錦糸町南口一帯は繁華街を形成しており、区内でも犯罪発生の件数が多い地域でございます。そのため、地域の防犯対策につきましては、これまでも警察署はもとより、商店街や町会など、地域住民の皆様が自主的に「錦糸町地区暴力追放委員会」「錦糸町南口を考える会」を結成し、防犯パトロールの実施や街灯防犯カメラ設置などに取り組んできており、区も地域の皆様と連携して地域の安全で安心な
まちづくりを推進してきたところでございます。 しかし、「
国際観光都市すみだ」を実現するためには、さらに防犯対策の充実・強化を図る必要があると認識をしております。そこで、本年度は、東京都が実施をしている地域防犯モデル事業の地区指定を受けまして、新たに錦糸町駅周辺地区において、犯罪発生の抑止、地域の防犯環境の改善を目的とした総合的な防犯対策事業に取り組むこととしております。これによりまして、地域防犯活動の一層の活性化、防犯設備の整備等を図り、安全で安心に暮らすことができる
まちづくりを推進してまいりたいと存じます。 さらに、新タワーの開業を見据え、周辺地域における治安の向上を図るとともに、来街者に対する錦糸町の安全・安心なイメージのアピールに努めてまいる所存でございます。 以上で私からのご答弁とさせていただきます。 〔教育長 久保孝之君登壇〕
◎教育長(久保孝之君) 私からは、田中議員さんの
学校支援地域本部についてのお尋ねにお答えをさせていただきます。 ご指摘の中身は、
育成委員会をベースにして、
学校支援地域本部を速やかに立ち上げてはどうかというご趣旨かと存じます。お話のございました
育成委員会は、青少年問題に関する連絡調整をはじめ、「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」や「全国青少年健全育成強調月間」などに合わせた地域での有害環境の浄化運動の実施、青少年の非行防止対策活動などをはじめ、主に青少年の健全育成に関する事業の推進に積極的に努めていただいております。また、常日頃から地域の実情に応じた
地域体験活動の企画など、地域にとりまして極めて有意義な活動を行っていただいておりますことは、ご指摘のとおりでございます。私ども
教育委員会といたしましても、このような
育成委員会の活動を支援するとともに、
地域活動の担い手として深く信頼をしているところでございます。 一方、現在、設置を検討しております
学校支援地域本部は、文部科学省の方針によりますと、学校現場における
教育活動の充実を図ることを目的として、ボランティア等の活用や学校教育の一環としてさまざまな事業を行うことを主たる活動内容とする組織であるとされております。 したがいまして、私は、この二つの組織は、ともに地域と学校との接点にあるとはいえ、活動内容と目的が異なるものと認識をしておりまして、
学校支援地域本部も
育成委員会とは切り離した形で立ち上げたほうが、それぞれの機能をよりよく生かせるのではないかと考えているところでございます。
学校支援地域本部の活動といたしましては、例えば地域人材を「学校支援人材バンク」として登録し、授業中でのボランティアや、あるいは図書館ボランティアという形で活用したり、教育事業の企画・立案、あるいは研修を行うことなどを考えているところでございます。具体的には、現在も行っております外部講師をゲストティーチャーとして招いての授業、学生ボランティアを活用しての学習指導、総合的な学習の時間における英語活動や国際理解教育等での補助・支援、あるいは理科の実験教室の補佐など、学校現場の努力だけでは困難になりつつある分野での実務的な人材支援を、学校のニーズを把握しながらコーディネートしていただくことが
学校支援地域本部の役割であると考えているところでございます。このような
学校支援地域本部の設置に向け、本年度新たに
教育委員会事務局内に検討委員会を立ち上げ、検討を開始したところでございます。検討委員会では、さまざまな先行事例について情報収集するとともに、学校のニーズや地域の人材についての具体的な調査をしてまいりたいと考えておりますので、ご理解のほどお願いを申し上げたいと存じます。 私からのご答弁は以上でございます。
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○議長(
西原文隆君) 議事の都合により、暫時休憩いたします。 午後1時45分休憩
--------------------------------------- 午後2時9分再開
○議長(
西原文隆君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。 17番・大越勝広君 〔17番 大越勝広君登壇〕
◆17番(大越勝広君) 公明党の大越勝広です。通告してある3点につきまして、区長、教育長にご質問いたします。 まず初めに、介護問題についてお伺いいたします。 介護は、今、惨たんたる状況に差しかかっております。原因は、介護職の離職、他の事業への大量流出が大きな要因となっております。コムスン問題の本質も、経営モラルとともに人材不足にあったことは周知の事実です。その大きな要因として、能力に見合った賃金体系になっていないと介護現場に携わる多くの方々から伺います。 一方、事業者側の思いも同じであり、労働安定センターによる「介護労働の現状」の中には、介護保険事業所の運営上の問題点として、第1に、今の介護報酬では十分な賃金を払うことはできない。第2に、経営収支が苦しく、労働条件や福祉環境の改善をしたくてもできないと指摘しております。いずれも経済的な問題であり、介護報酬の体系を握っている介護保険制度そのものに原因があります。このまま介護を担う人材が少なくなれば、保険制度そのものが内から崩壊しかねません。国は、平成18年に介護保険法を改正し、施設介護から在宅介護、介護予防支援を核とした介護行政にかじを大きく切り替えましたが、保険財政から見て、介護職の流出に歯止めをかけるほどの大幅な待遇改善とはなっておりません。 介護員にとって、尽くせる喜びとそれに見合った収入のある意欲を持てる職業とはほど遠く、苦労が報われない現実があります。また、事業者の側も、介護員への報酬改善ができない悩みを抱えながら、訪問介護では採算割れが発生しているケースも出始めており、現に昨年、墨田区においても破産に追い込まれた事業所が発生いたしました。 さらに、利用者の側から見ると、現実には在宅介護の主役は女性であることが多く、人生90年代時代を迎えた現代では、介護は10年近くも続く、心身ともに大きな負担となっております。介護保険ができてよかったという声がある反面、介護認定に対する不満やそのサービス制限に対しても矛盾を感じ、経済的にも圧迫されるため、さまざまなストレスからDVにつながる事例が増えております。皮肉にも医療の発達が介護を過酷なものにしてしまっているのです。施設に頼ろうとしても、費用が安い公的施設の数は限られている上、入居を待つ人は数百人を数え、入居まで2年から3年待ちの状態であり、しかも、実質的に要介護4か5でないと入れないという状況があります。 こうした介護問題を抜本的に解決するために「自立支援介護」を主題とする学会が平成18年に設立されました。会長となった国際医療福祉大学大学院教授の竹内孝仁教授は、全国の介護施設の現場で、これまでの「おむつ交換型介護」から「自立支援型介護」への転換を提唱・実践する中で、1、利用者の快適性の向上、2、介護負担の軽減、3、「在宅復帰」の実現、4、経済的メリットという4点について大きな成果を上げております。 その第一歩となるのは、高齢者介護・医療で当たり前のように言われている紙おむつを減らし、排せつの自立を促す支援をチーム一丸となって取り組むことです。昨年10月に参加した「新しい介護を創る研究会」でのシンポジウムでは、その事例の一つとして、世田谷区立特別養護老人ホームからの報告がありました。認知症になって日常的に徘回を繰り返し、不眠症の上、大声を上げるようになって入居してきた男性は、排せつについての情報公開を嫌がり、食事もままならず、病状が悪化していく現状でした。ホームでは、こうした状況を改善するために適正な水分摂取と食事、運動を取り入れる中で、励ましながら介護員とともに決めた目標をクリアしていきました。すると、徐々に体力が回復し、食事や排せつも正常に戻ると同時に、不眠症による徘回が劇的に改善し、通所だけの在宅介護に復帰できたというものでありました。本人や家族の喜びはもちろんのこと、その方にかかわった介護員の自信とやる気につながったことは言うまでもありません。 シンポジウムでは、自立支援型介護では、水分摂取、食事、排便、運動を確実に実践できるように環境を整えることが最も大切なポイントであると指摘されていました。それを実現していくためには、3Kと呼ばれる従来のおむつ交換、食事や排せつの介助といった従来型の介護ではなく、医学的根拠に基づく知識を持ち、専門職としての介護理論と技術を学ぶことが大事になってきます。それが専門職としての社会的認知を獲得し、ひいては待遇改善への道を開き、魅力とやりがいのある職業へと変え、人材流出を食い止める一助となると考えるのです。 また、経済的なメリットとして、自立支援を推進した老人保健施設では、在宅復帰率が50%になり、その結果、1床当たり年間38万円の増収となったり、同じ方がずっと入所しているのではなく、復帰した方も通所するようになった特別養護老人ホームでは、在宅入所相互利用となったことにより、1床当たり年間12万円の増収が見込まれるという結果が出ました。特に特別養護老人ホームにあっては、排せつ自立促進に伴って、おむつなどの排せつ用品の経費の削減が経営状態の改善に
つながり、職員の賃金増につながるという実績が生まれております。介護保険の報酬体系について抜本的な改正が必要ではありますが、こうした事業改善による増収は価値ある実践だと思います。 以上の点から、我が区において自立支援型介護が実現・定着できるよう、その環境整備が必要であると考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。 また、その具体的な実施に当たって、先ほど紹介したような世田谷区の特別養護老人ホームでの事例研究や、介護員に対するパワートレーニング研修など、知識や技術の向上につながる研修会を開催してはいかがでしょうか。区内には高齢者を対象としたパワートレーニングができる団体もあり、そうした力を活用すべきと考えます。さらに、経営者である事業主体が何を目指し、どのような介護をしていくのかという明確な指標を持ち、そのための組織づくりと
人材育成をいかに進めるべきか、そういったさまざまな情報を提供する講習会を行ってはいかがでしょうか。 併せて、指定管理者として現在委託している施設については、自立支援につながる行政評価を実施する必要があると思いますが、いかがでしょうか。 また、家庭でも介護の労を惜しまないように学校で介護教育を取り入れるなど、本区における介護問題の改善に行政としての責任を果たすべく、その指導性を発揮して取り組んでいただくよう提案いたしますが、その点について区長のご所見をお伺いいたします。 さらに、介護問題解決のもう一つのキーワードとして、人材不足の解消につながる介護支援ボランティア制度の導入についても提案いたします。現在、墨田区で実施している相談事業を中心とした介護ボランティア制度とは異なり、65歳以上の元気な高齢者が介護支援のボランティアに参加することでポイントをため、自らの介護保険料の支払いに充てるという制度で、全国の自治体でもその取組みが始まっております。 世田谷区では、介護保険料を支払っている65歳以上の区民を対象に、
ボランティア活動への参加を希望する人は、区が行う「集合研修」を受け、制度の概要や活動上の心構えを学び、さらに「施設実習」としてボランティアを受け入れる介護保険施設で実際の活動を体験します。集合研修を終えたボランティアには「介護支援ボランティア手帳」が交付され、その後、活動に参加すると1時間に付き1枚、50円相当の「Vスタンプ」と呼ばれるシールを張っていく。10枚以上張ると、1年後、活動実績に応じて、最大6,000円が介護保険料負担軽減資金として支給され、実質的に介護保険料が軽減できるというものであります。 ボランティアの活動内容は、各施設で異なり、掃除などの軽作業や、配膳や後片付けなどの手伝いのほかに、話し相手、外出や散歩の介護補助などの募集もあり、ボランティアは自身の希望に合わせて施設も選ぶことができます。八王子市では、在宅の高齢者に対する
ボランティア活動にも制度を適用するなど、各自治体独自の特色を反映させた制度が広がっております。 この制度の導入は、介護の現場における人材不足の解消につながるだけでなく、参加した高齢者にとっては、1、地域貢献しながら自身の介護予防につながる、2として、実質的に介護保険料負担を軽減できるとの二つの利点があると思います。我が区においても、既存の制度を生かしながら、我が墨田区ならではの施策を実施すべきと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。 次に、子どもの読書教育について教育長に伺います。 墨田区の教育指針には、1、挑戦する力、2、つながる力、3、行動する力を身につけていくことを掲げております。私たち公明党は、こうした力を
子どもたちが身につけていくために読書教育の役割は極めて大きいと認識しております。中でも学校図書館は、その中核になると考えております。 過日、我が会派は、NPO法人「図書館の学校」を訪問し、読書教育について先進的な取組みを行っている全国の取組み事例や、同法人が主催する「図書館を使った調べ学習コンクール」の研究・調査を実施いたしました。その中で袖ヶ浦市の取組みが大変顕著であったことから、袖ヶ浦市の学校図書館を中心とした読書教育について調査活動を実施いたしました。 話を伺う中で、読書教育の取組みと定着化は短期間に構築されたものではなく、平成3年から「学校図書館を学習情報センターとして機能させる」ことを目標に計画的に進められ、その過程で国からも評価され、平成10年に「学校図書館情報化・活性化推進モデル地域」として、そして18年には「学校図書館支援センター推進事業」の指定を受けたとのことでした。中でも学校図書館に関する「人」「もの」「情報」のネットワークを整備・構築したことが、学校図書館を学習・情報センターとして機能させた大きな要因とのことでありました。 具体的には、「人」のネットワークとは、読書指導員などの配置であり、この読書指導員は司書資格の保有者又は実務経験者が採用され、蔵書の整理だけでなく、各学校担任と一緒に読書教育にもかかわるとのこと。そのため指導員は、年6回の専門的な研修以外にも、自費で各種フォーラムやシンポジウムに参加するなどの研修を重ね、今では全国から講演・研修依頼が来るほどスキルが向上し、この読書指導員が袖ヶ浦市の読書教育の根幹を支えていると評価されるぐらい重要な役割を担っていました。驚いたことに、その方々は年収90万円の臨時職員とのことでした。 また「もの」のネットワークでは、平成3年より、学校図書館の蔵書冊数を充実させるため、1校当たり年間70万円から100万円の予算計画で図書を購入し、さらに図書の貸出し事務が簡易になるよう蔵書の電算化も進めてきたとのことでした。また、インターネットによる公立図書館との連携を平成10年から12年の3カ年の間に全小・中学校で実施し、学校にいながら公立図書館の本が借りられる図書流通システムを平成9年に全小学校で、平成11年には全中学校でスタートしたそうです。 次に「情報」のネットワークとして、学校現場のサポートツールとしてイントラネットの教育情報ネットワークを立ち上げ、約9,000点にも及ぶ教育教材の検索・予約や、学校図書館同士の蔵書検索、さらには読書指導員や学校教員間のリファレンスに掲示板の活用など、教育現場を総合的に支えるネットワークを構築されておりました。 翻って墨田区では、学校図書館を取り巻く環境はどうでしょうか。袖ヶ浦市と教育環境や地域性など、さまざま異なる点はありますが、墨田区の「子ども読書活動推進計画」には、調べ学習の情報拠点として学校図書館を充実させることが明記されております。また、文部科学省より「学校図書館支援センター事業」の指定を受けていることからも、読書教育には力を入れなければなりません。しかし、その体制はまだ整っていないと実感します。 そこで、教育長に何点か伺います。 第1に、現在、墨田区では、一般の方を研修の上、読書ボランティアとして学校図書館の蔵書の修復、整理などを行っていただいていますが、担任や司書教諭と連携した読書教育は実施しておりません。今年度からの国の事業指定を受けて読書アドバイザーを数校に配置いたしましたが、現時点では時限的措置です。今後、調べ学習を推進するに当たって、専門性を有した読書指導員が各学校に必要だと思いますが、いかがでしょうか。 また、袖ヶ浦市では、読書指導員が蔵書の整理から読書教育まで携わっておりますが、品川区では、一般の読書ボランティアには蔵書などの整理を実施し、専門性を必要とする読書指導員については外部委託しております。墨田区も、直ちに内部でそうしたスキルある人材を配置できない場合、外部への委託も含めて検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。 第2に、蔵書、教育教材について伺います。 過日、新聞に、学校図書館の蔵書基準について達成しているところが、全国平均で公立小学校42%、公立中学校36%、東京の達成割合は51.2%との報道がありました。この問題について、本日の新聞にも掲載しているとおり、さらに我が会派としては、平成17年の決算特別委員会でも取り上げ、理事者からは、100%の執行を徹底していく旨の答弁がありましたが、現状はどうなのでしょうか。さらに、今後、図書購入のための予算を増やしていく考えがあるのか、伺います。 蔵書を再度検証し、不要な本や傷みの激しい本などをまず整理し、その上で蔵書基準未達成なところについては計画的に蔵書を増やしていくべきと考えますが、教育長の所見を伺います。 また、中には高額な割には余り使用されない教育教材もあると思います。普段は余り使わない資料は学校ごとに保有せず、ライブラリーを設け一元管理し、必要なときに届けるシステムを構築してはいかがでしょうか。学校図書館の蔵書も、調べ学習に使用する図書と、普段読書に使う図書など、住み分けをどのように検討されているのか伺います。併せて、公立図書館と学校図書館の配本システムの早期実現を強く求めるものであります。 第3に、情報のネットワークについて伺います。 墨田区では、現在、学校支援又は情報発信・交流ツールといった機能を持つ「教育情報ネットワーク」が構築されておりません。先ほども紹介したように、袖ヶ浦市では、図書や教育教材の予約検索機能などを持たせ、充実させたネットワークが構築されております。横浜市や熊本市、岐阜市など多くの自治体でも構築されています。昨日の自民党・田中議員の質問にも、学校のIT化推進について取り上げておりましたが、IT化の整備に併せ、墨田区でも学校現場支援や教育現場の情報発信の上からも立ち上げてはいかがでしょうか。教育長のご所見を伺います。 第4に、墨田区の「子ども読書活動推進計画」は、平成17年から21年の5カ年計画でありますが、今後、新しい子ども読書推進計画を策定する予定があるのでしょうか。策定する場合、先ほど質問した「人」「もの」「情報」の観点から策定してはいかがかと思いますが、教育長のご所見をお伺いいたします。 第5に、調べ学習コンクールの活用について伺います。 袖ヶ浦市では、
子どもたちの中に読書教育を展開・定着化していく上で、調べ学習コンクールへの参加が大きなきっかけとなったと伺いました。初めは数校での実施だったそうですが、実践報告の刺激の中で次第に参加者が増え、それに合わせて学校図書館の活用も増えていったとのことでした。東京でも文京、杉並、豊島と取り組む自治体が増えてきております。まずはできるところからで構わないと思うので、
教育委員会として各小・中学校に参加の呼びかけを実施してはいかがでしょうか。夏休みの自由研究で推進するなど、方法はさまざまあると思います。幸い、主催団体が本区の公立図書館窓口業務を委託している事業者の関連でもあり、参加・実施に当たっては、さまざまご協力いただけると思います。教育長のご所見をお伺いいたします。 読書教育の質問の最後に、総合教育センターについてお伺いいたします。 昨年の本会議や区民文教委員会で、我が会派は、授業以外の実務支援や教員の交流・研修拠点、専門家による諸問題に関するサポート機能を含めた学校現場の支援機関として総合教育センターの設置を提案してきました。袖ヶ浦市でも読書教育が前進したのも、学校現場の支援機関である総合教育センター内に学校図書館支援機能を持たせたことが大きかったと伺いました。我が会派からの総合教育センターに関する質問に対し、教育長の答弁は「現在の教育支援のための各機能を総合的に整理し、配置について検討していく」旨の答弁がありました。あれから1年近く経過し、学校の適正配置に伴う廃校活用や統合新図書館の開設に伴うあずま図書館の活用についても、さまざまな議論になる背景で出てきており、総合教育センター設置に向けた検討を早めるべきだと考えます。現在の進捗状況を踏まえ、教育長のご所見をお伺いいたします。 次に、学校現場におけるアレルギー対策についてお伺いいたします。 文部科学省が昨年4月に公表したアレルギー疾患に関する調査報告書によると、公立小・中学校の児童・生徒のアレルギー疾患の有病率は、気管支ぜん息が5.7%、アトピー性皮膚炎が5.5%、アレルギー性鼻炎が9.2%、食物アレルギーは2.6%などと高い数値を示し、学校現場でアレルギーで苦しむ
子どもたちが数多くいる実態が浮き彫りになりました。 この報告を受け、本年4月に「学校のアレルギー疾患に対する取組みガイドライン」が作成されました。これまで患者側から見た問題点として、医療機関の質により治療結果に開きが出てくるという医療機関の情報不足や、そのことによる学校生活でのQOLの格差などが挙げられております。先の文部科学省のアレルギー疾患に関する調査検討委員会での報告書でも、学校が各種の取組みを行っていると答えた割合はかなり高いものの、実際にアレルギー疾患で悩んでいるお子さんを持つお母さんたちに聞くと「実際とは違う」「こんな対応はしてくれていない」という声が多いという現状があることも指摘されております。こういったこれまでの経緯から見れば、今回のガイドラインは父兄側と教育現場双方にとり、待ちに待ったものであると考えます。したがって、今回のガイドラインを学校現場で適切に活用し、実践していくことが重要であると思います。 そこで、今回のガイドラインを受けての墨田区の対応についてお伺いいたします。 初めに、墨田区の現状についてであります。昨年、食物アレルギーについて議会でも議論されましたが、そのほかのアレルギーを含め、有病率の実態をどのように把握しているのか。また、中でも重い症状である一部の食物アレルギーの急激なショック症状(アナフィラキシーショック)を起こす可能性のある子どもはどのくらいいるのか。その際、学校現場でどのような対応をとるよう指示をしているのかについてご報告願います。 次に、具体的な対応についてお伺いいたします。同ガイドラインでは、児童・生徒の症状などを把握するアレルギー疾患用の「学校生活管理指導表」の書式を提示し、それに基づいた学校の取組みを求めております。同指導表は、5種のアレルギーの疾患ごとに「病型・治療」「学校生活上の留意点」などを主治医や学校医が記入し、保護者を通じて学校に提出されます。その後、各学校で取組みの検討やプランの作成などが行われた後、実施されることとなります。学校にも主治医の指示が確実に伝えられるとともに、保護者の同意が得られれば、教職員全体で情報を共有することも可能になります。また、各疾患の原因や症状、薬の管理なども解説、その上で学校生活上のアレルギー対策として、アトピー性皮膚炎の子どもに体育の授業後の着替えをするよう求めるなど、各アレルギー疾患の児童・生徒に対して、学校での留意すべき状況と対応について具体例を挙げ説明しております。 こういったきめ細かい対応を求めていることに対し、
教育委員会や学校現場がどう受け止めて行動に移すかについて、仄聞するところでは、東京都
教育委員会はガイドラインができたからといって、活用するかどうかは各区に任せるといった態度で、各区に配布しただけと伺っております。このようなおざなりな対応では、同ガイドラインが目的とするアレルギー疾患の児童・生徒が安心して学校生活を送ることができる環境整備を達成することはできません。文科省は、今後、同省主催の会合などで周知を図り、各学校間での活用を促していく方針ということですが、区としては教職員への研修をはじめ、父兄への徹底、個々の児童・生徒に対する対応といった具体的なスケジュールについて、どのように進めていくつもりなのか、教育長のご所見をお伺いいたします。 次に、命の危険性に伴うアナフィラキシーショックに対する対応についてお伺いいたします。 アナフィラキシーショックは、発症から30分以内にアドレナリンを投与しなければなりません。しかし、学校現場で同ショックが起きた場合、子どもの意識が低下するなどでアドレナリン自己注射薬(通称エピペン)を自己注射できない状況も予想されることから、同ガイドラインでは、子どもに代わり、居合わせた教職員がエピペンを注射することについて法的責任が問われないことが明記されました。10年間は無理だろうと言われていたことであり、画期的な内容だと思います。しかし、教職員にとっては、判断ミスへの恐怖感や抵抗感があろうことは容易に想像ができます。このため、現場の教職員にエピペンを打つタイミングを理解してもらうなど、食物アレルギーとアナフィラキシーのことを知ってもらう研修が大事となります。私も、先月、アレルギーを考える母の会主催の講演会に横浜に行ってまいりましたが、決して難しいものでも、怖いものでもないことが、その研修で分かりました。
教育委員会がリードし、是非適切な研修を実施して、同ガイドラインを実効性あるものにしていただきたいと思いますが、このアナフィラキシーショックを起こした児童・生徒に対する教職員のエピペン注射について、教育長のご所見をお伺いいたします。 今回質問した自立支援型介護への移行や、教育現場における読書教育、アレルギー対策に関する提案については、直ちに実行できることから、中長期にわたって計画的に進めなければならないものがあることも認識しております。しかし、区長、教育長をはじめとする行政当局側も、その方向性や問題意識では同じスタンスであると確信しております。どうか答弁においては、そのことがにじみ出るような答弁を期待して、私の質問を終わらせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) 〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君) ただいまの公明党・大越議員さんの私に対するご質問にお答えをいたします。 介護保険制度を取り巻く諸問題と、本区における介護制度における自立支援型への移行についてお尋ねがございました。 ご指摘のとおり、コムスン問題をはじめ、介護保険制度を取り巻く環境は大変厳しい状況にございます。特に、マスコミでも報道されておりますように、介護事業所における経営の悪化や、介護従事者の待遇の悪さが人材難を招いていることなど、大きな問題として指摘をされております。こうした状況を踏まえまして、去る5月21日に「介護従事者処遇改善法」が成立いたしまして、来年4月までに介護従事者の賃金をはじめとする処遇の改善に資するための施策のあり方を検討し、必要な措置を講ずることとされました。したがいまして、当面はその動向を見守って、必要があれば対応させていただきたい、そのように思っております。 また、介護制度における自立支援型への移行についてでございますが、介護保険法の目的として「自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保険医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」と規定をされていることを踏まえまして、本区におきましても、自立支援型に視点を置いた介護サービスの供給体制の構築に力を注いでまいったところでございます。今後とも、在宅介護、施設介護を問わず、すべての介護サービスにおいて、改めて自立支援の視点を踏まえたケアプランの作成やサービス提供について、事業者連絡会などと連携して、ご指摘にもございましたように、従来型の介護ではなく、新しい介護理論や技術に基づく介護について研修会や講習会等を実施する中で、さらに改善を図ってまいりたいと存じます。 次に、区立の介護関連施設につきましては、これまでも「指定管理者事業評価」いわゆるモニタリングの指針を設けまして、適正かつ確実なサービスの提供が行われているかどうかのチェック体制を整えておりますが、今後は「自立支援への貢献度」の観点からの評価項目も取り入れさせていただいて、事業改善につなげていきたい、そのように考えております。 また、学校における介護教育についてでございますが、現在、区内の小・中学校38校中25校では「総合的な学習の時間」において福祉や健康にかかわる体験的な学習に取り組んでいると聞いております。今後もこうした学習が各学校において実施されるよう支援してまいりたいと考えておりますので、ご理解のほどお願いをいたします。 次に、介護支援ボランティア制度の導入についてお尋ねがございました。 本区においても、活動内容は各施設で異なりますが、シーツのたたみや軽作業など、介護ボランティアとして多くの高齢者の方が地元の地域で活動されております。 ご案内のありました介護支援ボランティア制度は、高齢者が社会参加、地域貢献を行いながら、自らの健康増進や介護予防にも効果が期待でき、さらには結果的に保険料の軽減にもつながるものでございまして、大変意義のあるものと考えられます。
ボランティア活動につきましては、既に社会福祉協議会で「すみだハートライン21」事業として有償ではありますが、さまざまな福祉ニーズに対応しているところでもございますが、それらとの調整も含めて、改めてただいまご紹介ございました各市町村の実態等を調査させていただきまして、本区の地域特性にあったボランティア制度について検討させていただきたい、そのように思いますので、よろしくお願いをいたします。 〔教育長 久保孝之君登壇〕
◎教育長(久保孝之君) 私からは、教育分野に関しますご質問に順次お答えをさせていただきます。 まず、子どもの読書教育につきまして、先進的な取組みを行っている自治体の実例を踏まえた6項目のご質問がございましたので、お答えをいたします。 その1点目は、学校図書館への専門性を有した読書指導員の配置が必要であるとのご意見でございます。ご指摘のありました袖ヶ浦市では、読書指導員の活動として、読み聞かせやブックトーク、読書相談、図書館利用指導等を行っているようでございます。 本区におきましては、学校での読書指導といたしましては、教員をはじめ図書館職員やボランティアの協力により、朝読書等の全校一斉の読書活動や読み聞かせ、ブックトーク等を行っております。また、日常の読書活動や調べ学習への支援として、
図書館資料の団体貸出しも実施をいたしているところでございます。 さらに、学校図書館には、保護者の皆様を中心としたボランティアと、資格や実務経験を有する学校図書館アシスタントを、一部の学校ではありますが、配置をしております。ボランティアの方の活動は、図書館の整理整とんや書架の整備、そして学校図書館アシスタントにつきましては、図書の分類や整備、学校図書館連携システムの運用補助等の活動を通して、
子どもたちの読書活動や図書館利用の促進に、それぞれ一定の効果が上がっているところでございます。 これらの状況やご提起いただいた人材に関する点も踏まえまして、今後、学校図書館の充実を学校と十分協議を重ねながら進めてまいりたいと考えております。 次に、学校図書館の蔵書に関して、達成率の現状と基準未達成への対応についてのお尋ねがございました。 蔵書基準の達成割合につきましては、平成19年度現在、小・中学校39校中、標準蔵書数に達している学校は19校にとどまります。ただし、標準蔵書数には達してはおりませんが、その75%を超えている学校を加えますと計33校となります。この数は17年度で30校、18年度で31校でございましたので、徐々に充実が図られてきているというところでございます。 また、図書館予算の配布につきましては、文部科学省の学校図書館関係予算措置状況調べから見ましても、当区の措置率は国の定める図書に関する財政需要額を上回っておりまして、東京都の平均をも上回っておりますので、予算としては適正な水準を確保できているものではないかと認識をしているところでございます。 さらに、蔵書の適切な整理を先行しながら、併せて蔵書を増やしていくべきではないかとのご指摘もございました。図書の管理・選定及び購入は学校長の責任のもとで行われていることから、引き続き各学校に対し、学校配当予算の計画的かつ確実な執行を促し、蔵書達成率を上げるべく指導してまいる所存でございますので、ご理解をいただきたいと存じます。 次に、教材資料の一元整理及び図書の住み分けの問題でございます。 ご指摘のとおり、余り使用されない教材資料につきましては、学校ごとの保有ではなく、一元化して、必要なときに利用できるシステムとすることは極めて有効であろうと考えております。また、教材の種類や使用目的が現在多様化しておりまして、また、利用時期が重なっているというふうなこともあり、このような学校ニーズの多様化に対応するため、それらも勘案した無駄のない購入、あるいはそれの供給システムづくりについて研究課題といたしているところでございます。 また、学校図書館の蔵書につきましては、読み物図書と調べ学習で使用する図鑑などは区分整理して、
子どもたちが利用しやすいよう、各学校が施設の状況を考慮しながら工夫をしているところでございます。 今後は、学校のみならず、区立図書館の職員とも連携しながら、子どもにとってよりよい読書環境が構築できるよう、各学校に働きかけていきたいと存じます。 なお、図書館と学校図書館を結ぶ配本システムにつきましては、できればこの秋ごろには受入れ対応が可能な学校から順次試行的に実施していきたいと考えております。 次に、教育情報ネットワークの構築についてのお尋ねでございます。 本区の小・中学校のうち13校につきましては、既に学校図書館と区立図書館とが専用回線で結ばれ、教員が図書資料等を直接得ることができるようになっております。また、教員がインターネットを用いて東京都教育職員研究センターの開設している教育に関する情報ページにアクセスし、必要な情報を得ることも可能となっております。しかしながら、ご指摘にありましたように、学校教育を直接支援するための情報発信や相互交流ができるといった「教育情報ネットワーク」の構築にまでは至っていないというのが現状でございます。今後は、
教育委員会におけますICT環境の整備のあり方に関する検討の中で、学校支援のためのこの教育情報ネットワークの構築に向けた諸課題も併せて研究し、進めてまいりたいと考えているところでございます。 5点目は、新しい子ども読書活動推進計画の策定についてでございます。 現在の子ども読書活動推進計画は、ご指摘のとおり、平成21年度までの計画でございます。したがいまして、今後、計画の見直しが必要となってまいります。改定に当たりましては、読書活動が子どもの成長と学力の向上に欠かすことができないものであるとの認識のもとに、計画事業の実施状況や調べ学習への取組み支援といった視点を踏まえながら、準備を行ってまいりたいと考えております。 さらに、調べ学習コンクールの活用に関するご質問がございました。ご指摘のとおり、このコンクールへの参加がきっかけとなりまして学習意欲が向上したという例は数多く報告されているようでございます。こうした活動も含めまして、あらゆる機会を通じて
子どもたちの意欲の向上を図っていくことは、まさに「生きる力」の育成に直結するものと考えております。 現在、墨田区の各学校では、自ら課題を設定し、解決していく力をつけていくために、夏休みなどの長期休業日を利用して自由研究やコンクールへの応募を奨励し、学ぶ意欲や成就感の育成に取り組んでおります。また、この時期には、民間団体も含めて、フォトコンテスト、発明コンクールなど、さまざまな形式で
子どもたちの作品の募集が行われておりまして、こうした機会に加えて、さらにその選択肢の幅を広げる形でこうしたことが取り入れることができるかどうか、学校現場とも十分協議してみたいと存じます。 図書に関しまして、最後に、総合教育センターに関するご質問がございました。 議員ご指摘のとおり、今日、例えば外国人児童・生徒への指導など、学校単位では解決困難な課題がさまざまあるということは認識をいたしております。こうした課題の解決に向けた支援、特に教員に対する支援は大変重要でありまして、
教育委員会といたしましても、今、力を注いでいるところでございます。その一環として、まさに今ご指摘のありました児童・生徒への指導の補完や教員研修の拠点、専門家によるサポート、保護者、地域住民からの相談など、さまざまな課題に対して一体的に対応できる総合教育センターの設立は、まさにそうした学校への支援策として有効な方策だというふうには考えております。 私ども、現在、そうしたことでこれまで個々に必要に応じて順次導入してきた学校教育を支援するさまざまな機能について、期待される事業内容の見直しやそれらの集約、適切な配置等について検討しているところでございますが、この間、新たに
学校支援地域本部などという提起もございまして、そうしたものも踏まえて、さらに検討を重ねつつ、統合新図書館などの他の諸施設の動向も踏まえて、研究を続けさせていただきたいと考えているところでございます。 次に、学校現場におけるアレルギー対策についてのお尋ねがございました。 まず、アレルギー有病率の状況でございます。保護者から学校での配慮の申出を受けている児童・生徒の割合で申しますと、小・中学校を通じまして、気管支ぜん息で1.6%、アトピー性皮膚炎で0.9%、アレルギー性結膜炎で0.5%、アレルギー性鼻炎で1.3%、食物アレルギーで1.4%、化学物質過敏症で0.1%、その他で0.3%となっております。 なお、本区において保護者からお申出のございましたアナフィラキシーショックに至る可能性が高いとされる児童・生徒は数名ということでございます。 アレルギー疾患への対応といたしましては、基本的には保護者との面接により子どもの状況を聞き、学校生活での注意事項を把握して、それぞれの子どもに応じた対応をすることになっておりますが、必要に応じて医師による診断書、指示書等も対応の参考とさせていただいているところでございます。 そこで、具体的にアナフィラキシーショックに至ってしまったときの対応でございますが、それぞれの子どもの状況や症状によって異なりますが、標準的には保健室で安静にさせる、保護者に連絡をする、指定病院への移送、救急を要請する等の措置をとっております。いずれにいたしましても、児童・生徒の生命・健康にかかわることでございますので、保護者、医師、学校教職員との綿密な意思疎通が必要であると認識しているところでございます。 そこで、学校のアレルギー疾患に対する取組みガイドラインの活用についてでございます。 本区における児童・生徒のアレルギー疾患対応につきましては、先ほど申しましたとおり、入学時等において保護者から特別の対応の要するアレルギー疾患について届出を受け、それに対する対応を決めているところでございますが、同種のアレルギーであっても個々の児童・生徒に対して異なった対応を必要とする場合もあることから、何よりも個別の把握が必要である。そういう点では、このガイドラインは、アレルギー疾患に対する対応策を疾患ごとにまとめたものとなっておりまして、大変分かりやすく編集されていることから、アレルギー疾患の児童・生徒に対応する際の参考として大いに活用させていただきたいと存じております。実務上は、先ほど申しました個々の聴取の事情をもとに、養護教諭等が中心となって個別に管理表を整え、そして対応のマニュアル化を進めるようにさらに指導してまいりたいと考えております。 なお、アレルギーに関します研修につきましては、これまでも一般保護者も参加できる食物アレルギー講演会などを実施いたしておりますが、今後とも継続してアレルギー疾患全般に対する知識等の習得の機会を作ってまいりたいと存じます。 最後に、アナフィラキシーショックへの対応についてでございます。 アナフィラキシーショックへの対応に当たりましては、ご指摘のとおり、アドレナリン自己注射薬であるエピペンの対応の問題がございます。今回のガイドラインにおいては、アナフィラキシーの救命現場に居合わせた教職員がエピペンを自ら注射できない状況にある児童・生徒に代わって注射することは、反復継続する意思がないものと認められるため、医師法違反にはならないとされています。また「医師法以外の刑事・民事の責任についても、人命救助の観点からやむを得ず行った行為であると認められる場合には、関係法令の規定により、その責任が問われないものと考えられます」との記述がございます。しかしながら、この点につきましては、なお免責に至る基準や運用上の基準が明確でないことから、東京都から国に対して、アドレナリン自己注射製剤の取扱いに関する法的な位置付けの明確化、緊急措置の基準づくりを求めるとの要望がなされておりまして、この推移を慎重に見守りたいと考えております。 なお、東京都では、今申しましたアナフィラキシーショックの際に迅速で適切な対応を行うための仕組みづくりを進めるために、19年度に文京区、小平市でモデル事業を実施しておりまして、20年度はこのモデル事業を踏まえた「(仮称)日常管理・緊急時対応」冊子を作成して配布することになっておりますので、これをも参考にさせていただながら、アナフィラキシーショックに対する教職員の対応の仕方について十分研究・検討してまいりたいと考えているところでございます。 私からの答弁は以上でございます。
○議長(
西原文隆君) 以上で
一般質問は終了いたしました。
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○議長(
西原文隆君) これより本日の日程に入ります。 日程第1から日程第9までを一括して議題に供します。 〔
事務局長朗読〕
△日程第1 議案第40号 墨田区の債権の管理に関する条例の一部を改正する条例
△日程第2 議案第41号 墨田区
手数料条例の一部を改正する条例
△日程第3 議案第42号 災害に際し応急措置の業務に従事した者等に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例
△日程第4 議案第43号 墨田区特別区税条例の一部を改正する条例
△日程第5 議案第44号 墨田区
木造住宅耐震改修促進助成条例の一部を改正する条例
△日程第6 議案第45号
墨田区営住宅条例の一部を改正する条例